【コレクション】1825年 ジョージ4世 プルーフハーフクラウン銀貨



発行年・王朝 1825年ジョージ4世
種類(エッジ) プルーフハーフクラウン銀貨(ミルド)
グレード PCGS PR63
希少度ランク S(珍しい)
入手方法 eBayで購入

入手が難しく希少度ランクは過小評価?

 1825年からワイオンがデザインしたジョージ4世の新肖像を使った銀貨が流通し始めた。当時、通貨の肖像が切り替わることを国民に事前に告知していたかどうかは不明だが、1825年銘のハーフクラウン銀貨(流通貨)の鑑定されたコインはグレードが高いものが比較的多い。当時のコレクターにもおおむね好意的に受け取られて、初年度となった1825年ハーフクラウン銀貨を大切に保管していた人が多かったと想像できる。

 この1825年銘プルーフハーフクラウン(ミルドエッジ)は、流通貨とデザインはまったく同じだが、特別に鏡面仕上げにしたものである。プルーフ貨が発行される目的は、「コレクターに販売するため」、「関係者や王室に贈呈するため」、「博物館や資料館に展示用として販売するため」の3つに大別される。翌年に発行された1826年銘プルーフハーフクラウン銀貨は、プルーフセットとしてコレクター向けに販売された典型的な例と言える。

 1825年銘プルーフハーフクラウン銀貨については、新肖像のハーフクラウン銀貨の初年度ということで、内部資料用および博物館などへの展示など、主に記録目的で少量が作られたのではないかと推測される。

 意外なことに、このプルーフハーフクラウン銀貨の希少度ランクは「S」と低い。鑑定数は10枚のみ(NGCが4枚、PCGSが6枚)なのに、どうしてこれほどランクが低いのか。翌年発行された1826年銘プルーフハーフクラウン銀貨は、推定400セット前後作られたと思われるプルーフセットに収められたもので、鑑定数は96枚に達している(NGCが49枚、PCGSが47枚)。その1826年銘の希少度ランクも「S」であり、さらに言えば、8000枚発行されたと伝わる1847年プルーフクラウン銀貨、いわゆる「ゴチッククラウン銀貨」の最も一般的なアンデシモエッジの希少度ランクも「S」である。「S」と「R」の間にはかなり高いハードルがあるということがわかるが、この1825年銘プルーフハーフクラウン銀貨は、鑑定数から推定される現存数からはR2どころかR3でもおかしくないのではないかと思う。

 私は、1824年銘1825年銘のパターンハーフクラウン銀貨(いずれもプレーンエッジ)をすでに入手していたので、1825年銘のプルーフハーフクラウン銀貨(ミルドエッジ)もコレクションに加えたいと考えた。希少度ランク「S」なので、簡単に入手できると思って甘く見ていたのだが、これが思いのほか苦戦した。過去2年間でオークションに出品されたのは1回だけで、しかもグレードがPF61と低かったのでパス。ディーラーの在庫をチェックして回ったが、扱っているディーラーも見つからない。そんな時に、eBayで売られているのを見つけ、出品者であるディーラーと価格交渉して入手することができた。

 裸の状態なら販売しているディーラーもあったのだが、流通貨が出ている年号のプルーフは、鑑定に出すとMSやMSのPL(プルーフライク)に評価されるリスクがある。1839年や1853年のプルーフハーフクラウン銀貨なら、その年にはプルーフ貨しか発行されていないので、裸でもある程度は安心できるのだが。

 ちなみに、PLという分類は2018年頃から導入された比較的新しい分類で、それ以前に鑑定されたコインの中には、フィールドの反射率が一定数値より高いコインはプルーフとみなされてPFやPRがついていたケースもあったと思われる。日本のあるオークションで「MS63PL」とグレードされたコインが出品されていたが、カタログに「出品者はプルーフとして購入したが、鑑定に出すとPLと評価された」と補足されているのを見たことがある。残念ながら、PFがつくのと、MSのPLしかつかないのでは、市場価値は大きく変わってしまうのが現状だ。

 コイン専門家によると、普通の流通貨とプルーフ貨では、使用するダイ(金型)が異なるので、専門家が見ればプルーフかどうかはわかるらしい。PLとは、流通貨用のダイで製造を開始した直後に打たれた状態のいいもので、プルーフ貨におけるCAMEOに近いものと思えばいい。

 今回、私はこの1825年銘プルーフハーフクラウン銀貨を、1826年銘とほぼ同じ価格帯で購入することができた。なぜ、こんなに安い価格で放置されているのか。それはESCの希少度ランクが、1826年銘プルーフハーフクラウン銀貨と同じ「S」だからという理由が大きい。もう一つの理由は、1825年銘流通貨は約226万枚と大量に発行されていて、1825年銘というだけは、見た目は珍しくないからだろう。

 現時点で鑑定数はわずか10枚という希少性から、将来的には評価が見直される可能性が高く、投資としても有望だと考えている。PR63というのは、PCGSではイコールファイネストであるが、NGCではPF65が2枚、PF64が1枚存在する。NGCのPF65を入手できる機会が到来すれば、ぜひチャレンジしたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です