アンティークコイン投資を検討している人へ

アンティークコイン投資はシンプルなゲーム

 アンティークコイン投資とは、ちょっと意地悪な言い方をすると、コレクターが喉から手が出るほど欲しいレア(希少な)コインを先回りして買って、しばらく隠し持っておくだけのシンプルなゲームである。レアコインは、いったん熱心なコレクターの手に落ちると、もう市場にはなかなか出てこない。そのようなコインをコレクターより早く見つけて手に入れること=「先回りして買う」という意味だ。

 価値が高まった頃を見計らって高値で売ることができれば、その差額が利益になる仕組み。注意しないといけないのは、高い金額を支払ってでも自分のコレクションに加えたいというコレクターの切実なニーズが基礎になっているという点。投機家や転売ヤーがカネにモノを言わせていくら価格を吊り上げたところで、コレクターからの実需がなければ、投機家と転売ヤーだけのババ抜きになってしまう。

 アンティークコイン投資で儲かる原理はシンプルだけど、コレクターがどんなコインを求めているかというコレクターの需要を理解できなければ、なかなか儲けることはできない。コレクターの心理を理解できるようになるには、アンティークコインに関する様々な知識を習得する必要があるため、参入障壁は見た目以上に高いとも言える。

 いったんその障壁を乗り越えてしまえば、ローリスクでハイリターンが狙えるワクワクする投資体験が待っている。アンティークコイン投資の世界とはどんなものか、どうすれば参入できるのか。そのような疑問に答えるために、自分の経験をこれから記事にしていくつもりだ。

アンティークコイン投資を始める前に知っておくべきこと

 アンティークコイン投資には様々なメリットがある一方で、投資である以上、当然ながらリスクも数多く存在する。YouTube界隈では「アンティークコイン投資にはリスクはほとんどない」と吹聴するディーラーもいるみたいだけど、それが事実なら日本でもっとアンティークコイン投資が流行っているはずだよね~。このブログでは、私が実践した経験に基づいて、アンティークコインのメリットもデメリットも投資家の目線で公平に書いていきたい。

 世の中に存在する膨大な種類の投資からどれを選ぶかは、各人の「好み(相性)」と「覚悟(リスク許容度)」によって決まる。ちなみに、「〇〇投資が儲かりそう」という思い込みは「好み」ではない。実践したこともない投資を「儲かりそう」と期待するのは、知識や経験の欠如からくる勘違いがほとんどだから。

 私がアンティークコイン投資に参入したのは、デメリットやリスクは少なくないものの、それを上回るメリットがあると判断したからに他ならない。その判断の基礎となった要素を列挙してみよう。これらの項目を見たうえで、アンティークコイン投資が好きになれそうと感じて、数々のリスクを甘受する覚悟ができた人は、ぜひアンティークコイン投資の世界に踏み出して欲しい。

リスク要因が多く難易度は高い

まず認識しておくべきことは、アンティークコイン投資は決して簡単ではないということ。リスク要因が多く、事前に学ぶべきことも多いので、中途半端な覚悟で参入すると大怪我をしかねない。適正価格がわかりにくい、流通経路が複雑でどこから買うかで価格が大きく異なる、商品に関する知識が不足している初心者は儲けるのが難しい、流動性が低くすぐに換金できないなど、美術品投資や骨董品投資に共通する点も多い。

他のコレクタブル資産より優れている点も

アンティークコインのようなコレクターが熱心に収集するモノは、コレクタブル資産とも呼ばれる。たとえば、クラシックカー、腕時計、レアウィスキー、ワイン、美術品、切手、トレーディングカードのようなモノがコレクタブル資産に分類される。アンティークコインは、1980年代以降、真偽や状態(グレード)を判定する第三者鑑定制度が登場し、その利用が普及したことで適正価格帯がわかりやすくなった。これはアンティークコインならではの利点といえる。

価格は「希少性」、「状態」、「国」、「デザイン」で決まる

コインの価格は、他の商品と同様に需要と供給のバランスで決まる。その需要を決める要素は、「希少性(レアリティ)」、「状態(グレード)、「発行国」、「デザイン」の4つだ。一言で表現するなら、「みんなが欲しがる珍しいコイン」の価格が高くなる。「みんなが欲しがる」、つまり「人気の高さ」をどう見極めるかで投資成績は大きく変わってくる。そのためには、どんなコインを欲しがるかというコレクター心理を理解する必要がある。

どのコインが値上がりするかは誰にもわからない

アンティークコインには膨大な種類が存在するが、当たり前だけど、すべてのコインが値上がりするわけではない。コインディーラーが様々なコインを「将来有望」と推奨しているが、彼らが積極的に売るのは、今すぐ利益を乗せて転売できるコインであって、将来値上がりするかどうかは誰にもわからない。アンティークコイン投資とは、自分のリサーチに基づいて選別した「正しいコイン」を「適正価格」で買えるかどうかがすべてと言っても過言ではない。

長期保有することが大前提

アンティークコイン投資は、長期保有することで値上がりを期待する投資手法である。理由は簡単で、投資に向いた高額のコインになると、売値と買値のスプレッドが大きくなるので、買った直後に売りに出しても手数料負けしてしまう。ある程度の期間、じっと保有することが基本になる。買った直後に薄利で転売する手法もあるが、それは投資ではなく転売なので、このブログでは対象にしない。(もちろん、コインの転売も立派なビジネスではあるが。)

換金性は高くないので資金管理が重要

投資に適した高額コインの流動性は高くない。強引に売りに出すと安値で買い叩かれる恐れがある。このあたりも美術品や骨董品に似ている。日本では、アンティークコインを担保に資金を調達することも難しいので、基本的にレバレッジを利かせることもできない。途中で資金繰りが苦しくなって、コインを換金売りに出さないといけなくなると「負け戦」が確定する。余裕資金で計画的に購入するなど、資金管理が重要な鍵となる。

資金力のある人が絶対有利

アンティークコイン投資の世界では、投資できる資金量によって明確に階級が分けられる。簡単に言えば、資金力があればあるほど有利な世界。富裕層は、自分の子、さらに孫の世代で利益を確定するようなイメージ、つまり相続目的で買っている。資金が少ない小市民は、そもそも購入できるコインの種類も大きく制限される。もしアンティークコイン投資に必勝法があるとすれば、ビジネスや金融投資など、投資できる潤沢な資金を稼ぎ出せる力を身に付けることだろう。

小市民の武器は知識とインターネットの活用

私たちのような資金の限られた小市民は、戦い方を考えないとアンティークコイン投資で勝つのは難しい。小市民の武器になるのが、アンティークコインに関する知識とインターネットの活用だ。知識の習得とインターネットの活用、どちらも時間が必要になるので、要するに資金が少ない分、自分の時間を投資しろということだ。特に、インターネットはこれまでオークションに頼るしかなかった出口を自分で開拓できるという大きな可能性を秘めている。

努力が報われる知的な投資

アンティークコイン投資は、初心者がいきなり儲けるのは難しい半面、知識が増えるにつれて勝つ可能性が高まる。努力すればするほど、その努力は確実に報われる。日本ではアンティークコイン投資を実践する人はまだ少ないので、今参入すれば先行者利益も十分に期待できる。株式投資で儲けたと自慢したところで、「たまたま運がよかっただけだろ」と思われるのがオチだが、アンティークコイン投資で儲けたと言えば、周囲から知的だと一目置かれるに違いない。

このブログを通して特に伝えたいこと

 アンティークコイン投資で一番難しいのは、「買う」ことである。正しいコインを適正価格で購入することができれば、ほぼ成功したのも同じ。コインは「売る」ことの方が難しいのではないか、と心配する人もいるかもしれないが、私はまったく心配していない。正しいコインさえ買えば、売るのに困ることはないと信じているし、そもそも売るのはかなり先のことなので、今から心配しても仕方ないということもある。

 このブログでは、「正しいコイン」を自分で選び、どこで買えばいいかを自分で探すことに主眼を置いている。アンティークコイン投資初心者は、とりあえずディーラーに相談して、ディーラーから推薦されたコインの中からどれでも好きなのを選べばいいよ、なんて無責任なことは言えない。なぜなら、私自身がそうはしなかったからだ。ディーラーに相談することが悪いと言っているのではない。株式投資だって、最初は担当の証券マンから推奨された銘柄の中から選んで買ったという経験の持ち主も多いだろう。ディーラーに選んでもらった方が楽だ、と考える人はそうすればいいと思う。

 アンティークコイン投資に関する書籍はいくつか出ているが、ほとんどはコインディーラーが書いたものである。ディーラーは、何を買うのがいいか相談して欲しい、というスタンスなので、書籍にはこのあたりのことはあまり書かれていない。私はそれらの書籍に足りないと思われる要素を体験をもって示そうと考えた。私はこういう考え方で「正しいコイン」を絞り込んで、実際にこういうコインを買ったよ。で、あんたはどうするの?

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