一つひとつは、よくある悩みです
売上の伸び悩み、人材不足、後継者問題、デジタル化の遅れ。どれも中小企業の経営者にとっては、聞き慣れた課題ばかりかもしれません。
しかし、これらの課題を一つずつ個別に対処しようとしても、なかなか根本的な解決には至りません。売上対策のために営業を強化しても、ノウハウを持った社員が辞めれば元に戻ります。採用に力を入れても、新人を育てる仕組みがなければ定着しません。マニュアルを整備しても、「本当に大事なこと」はそこには書かれていません。
一つの課題を潰しても、別の場所からまた同じような問題が顔を出す。そんな経験はないでしょうか。
行きつく先は、事業の存続そのもの
これらの課題が厄介なのは、放置すれば最終的に同じ場所に行き着くということです。
売上の減少が止まらなければ、事業を維持する体力が削られていきます。人材が育たなければ、経営者一人に負担が集中し、いずれ限界が来ます。後継者が見つからなければ、黒字であっても廃業という選択肢が現実味を帯びてきます。
一見バラバラに見えるこれらの課題は、すべて「事業が続けられなくなる」という一点に収束していくのです。
根っこは、一つです
では、なぜこれほど多くの課題が同時に発生するのでしょうか。
答えは、意外なほどシンプルです。
経営者やベテラン社員が何十年もかけて培ってきた「経験と勘」。判断基準や勘どころ、商売の呼吸のようなものが、その人の頭の中だけにとどまっていて、他の誰にも共有されていないのです。
これを、「暗黙知がナレッジ化されていない」状態と呼びます。
売上が減り続けるのは、ベテランの営業ノウハウが属人的なままだからです。人材が育たないのは、「見て覚えろ」に頼る育成から抜け出せないからです。後継者が見つからないのは、継ぐべき「中身」が目に見えないからです。マニュアルが使われないのは、本当に必要な判断基準がそこに書かれていないからです。AIを活かせないのは、AIに教えるべき自社の知見がまだ整理されていないからです。
すべての課題の根っこに、「暗黙知がナレッジ化されていない」という一つの共通原因があります。
根っこに手を打てば、枝葉は自ずと変わり始めます
逆に言えば、この根っこに手を打つことで、個別に見えていた課題は連鎖的に解消へ向かいます。
ベテランの判断基準が言語化され、会社の共有財産になれば。営業の質は特定の個人に依存しなくなります。新人はベテランの知見を参照しながら動けるようになり、育成期間は短くなります。「育ててもらえる会社」として、人材の定着率も上がるでしょう。継ぐべき「中身」が具体的に見える形になれば、後継者候補にとっても「この会社を継ぎたい」と思える条件が整います。そして、自社の知見が整理されていれば、AIは最も力を発揮できるようになります。
では、その「暗黙知をナレッジ化する」具体的な方法とは何でしょうか。それが、「第二の脳」の育成です。