初段はすべての人にとって最初の目標
ブログタイトルの「投資初段」というワードは私が勝手に作った造語である。将棋や囲碁など、級位・段位がある習い事や趣味は数多いが、どれをとっても初段は最初の大きな目標になる。ならば、投資においても初段という初心者が目標にすべきレベルがあってもいいのではないか。
私は、学生時代に将棋雑誌が実施していた段位認定試験に応募して、将棋初段の認定を受けたことがある。将棋の世界において、このように試験だけで取得した初段は、俗に「ペーパー初段」と呼ばれるが、私の場合は、初段の認定書をとっくに紛失してしまったので、さしずめ「ペーパーレス初段」といったところか。
将棋を始めたばかりの初心者(9級から7級程度)は、当然ながら初段には逆立ちしても歯が立たない。初心者の目には、初段の人は「天才」、いやむしろ「神」に見えてしまうかもしれない。その初段でも高段者(四段や五段など、余談だが将棋の級位・段位は、縦書き・横書きにかかわらず、級位はアラビア数字、段位は漢数字で表記する)から見れば、「初心者に毛が生えたようなもの」にすぎない。なんせ、並の初段は強い四段に二枚落ち(飛車と角を降ろしてもらうハンデ戦)でもなかなか勝てないのだから。
初段になると将棋を始めてからそれなりに強くなったと自覚できる一方で、高段者との力量差を痛感するようになる。四段に到達するには一種のセンスというか才能が必要だと思う。しかし、努力を放棄しなければ、たいていの人は初段には到達できる。(努力を継続できずに途中で脱落する人の方が圧倒的に多いけど)初段に到達してから、さらに研鑽して四段を目指すか、初段をいったんのゴールとして初段をエンジョイするか、各人の好みで決めればいい。
私は将棋初段になれた経験を活かして、投資においても初段になりたいと考えた。以前から株式投資には興味があったので、まずは株式投資における初段を目指すことにした。
私がまず目指したのは「株式投資初段」
何事においても、初段になるには基礎を固める勉強が第一歩になる。初段に到達するには、時間をかけて勉強や実戦などの努力を積み重ねる必要がある。初心者の中には、有段者をいきなり倒せる秘密の必殺戦法があるはずだ、なんて期待する人もいる。もちろん、そんなものは存在しない。ある程度将棋のことがわかってくると、初段の人に勝つには、自分が初段の実力をつけるしかない、と理解できるようになる。
投資の世界においても、同じような甘い考えを持つ人は少なくない。富裕層がこっそり実践している「確実に儲かる手法」があるはずだ、その手法を知ることさえできれば、自分も投資で大儲けできる、と。そう勘違いした人は、投資スキル上達のための正しい努力をせずに、ありもしない「聖杯」を探し求め続ける。まあ、そういうカモがたくさんいるからこそ、投資初段の人はゼロサムゲームの世界でコンスタントに儲け続けられるわけだけど。
株式投資初段を目指すからには、「初段」と認定される条件を設定しなければならない。迷った末、株式投資初段の条件は、「年間1000万円以上の利益を連続5年間継続すること」とした。年間1000万円以上の黒字を5年連続で計上するには、それなりのスキルが必要と考えられるからだ。ここで重要なのは、「5年間継続すること」である。
幸いにして、私は2013年から2022年までの10年間、一度も途切れることなく毎年1000万円以上の利益を計上することができた。よって、手前味噌ながら、「株式投資初段」はクリアできたと自負している。もっともこの期間は、アベノミクスとそれに続くコロナ禍バブルにより、株式市場の地合いが非常によかった時期とちょうど重なっている。かなり運に助けられた「初段」達成ともいえる。
そこで、株式投資初段がフロックではないことを証明するために、今度は新しい分野で投資初段を狙いたいと考えた。それがアンティークコインなどの「現物投資」初段である。
次のステップは「アンティークコイン投資初段」
今後も株式投資は続けていくつもりだが、コロナ禍バブルを体験して、株式などの金融投資から徐々に「モノ」への投資にシフトしていく方がいいと考えるようになった。理由は主に2つある。一つは、これから間違いなくインフレが進行すると予想されること。もう一つは、コロナ禍バブルによる株高で儲けた人たちに対する風当たりが強まりつつあること。具体的には、金融資産に対する増税などが予想され、資産を株式に偏らせることにリスクを感じたからである。
私は2021年4月頃から、徐々に資金を現物投資にシフトしてきた。どういった現物資産に投資するかという候補はいくつかあったが、自分の性格や好みなどを考慮して、当面は最有力候補だったアンティークコインに絞ることにした。アンティークコインは、世界最古の趣味ともいえる長い歴史を持っていることが決め手の一つになった。
現物投資は、基本的にレバレッジが効かないうえに長期保有が前提となる。株式投資みたいに、毎年、コンスタントに利益確定することは難しい。よって、「アンティークコイン投資初段」を認定するには、新たな条件を設定しないといけない。現時点では明確な条件は定まっておらず、しばらくはアンティークコイン投資を実践していきつつ、初段のクリア基準を模索していくことになるだろう。
アンティークコインは、コレクターが純粋に欲しいから買うという実需と、コレクターが欲しがるコインを投資家が先回りして買うという仮需が混在する「コレクタブル資産」に分類される。好きなモノを投資対象にして儲けようと考えるのはいただけない、という意見もあるだろうが、私はあえて投資家とコレクターの両立を目論みたいと思っている。
もちろん、有望なコレクタブル資産はアンティークコイン以外にもたくさんある。私が次に狙っているのは、「アニメ原画」(アニメーターが映像の元絵を鉛筆で作画用紙に描いたもの)である。マニアックな世界ではあるが、アメリカでも古いディズニーアニメの原画がコレクタブル資産として高値で取引されているという実績もあり、世界でも知名度の高い日本アニメの原画は大きな可能性があると信じる。
アンティークコインで現物投資初段の道筋を示すことができれば、アニメ原画、さらには他のコレクタブル資産に手を広げていきたい。