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【コレクション】1825年 ジョージ4世 パターンハーフクラウン銀貨



発行年・王朝 1825年ジョージ4世
種類(エッジ) パターンハーフクラウン銀貨(プレーン)
グレード NGC PF64
希少度ランク R2(非常に希少)
入手方法 海外オークションで落札

1825年から流通したハーフクラウン銀貨の試作貨

 1824年銘のパターンハーフクラウン銀貨には、エッジの種類にプレーンとミルドの2種類が存在したが、1825年銘のプルーフ貨にも、プレーンとミルドの両方が存在する。このうち、プレーンエッジは、量産前の試し打ちとして作られたパターンと分類されるのが一般的だ。

 私は、先行して1826年銘と1825年銘のパターンクラウン銀貨、さらに1824年銘のパターンハーフクラウン銀貨を入手していたので、この1825年銘パターンハーフクラウン銀貨(プレーンエッジ)もコレクションに加えたいと思って密かに探し回っていた。このパターンは、希少度ランクはR2(非常に希少)とそれほど高くないのに、意外に売り物がなく入手に手間取った。

 2023年1月にニューヨークで開催されたコインショー「NYINC」に合わせて開催されたオークションに出品されることを知り、それなりの予算を確保して入札に臨んだ。実はこの個体、オークションカタログには来歴があえて省略されていたが、ちょうど1年前に別のオークションに出品されたものとわかった。1年前の来歴を意図的に書かなかったのは、おそらく1年で売りに出したことがわかると、いい印象を持たれないと思ったからだろう。

 さらに、1年前の2022年1月のオークションで落札したのは日本人投資家ではないかと直感した。2022年は円安が急激に進行した年でもある。数年保有するつもりだったけど、急に円安が進行したので、1年で売りに出しても十分利益が出ると考えたのではないだろうか。

 幸運なことに、落札価格(ハンマープライス)ベースでは、1年前のオークションと比較して安く落札することができた。2022年1月は、コロナ禍バブルによってコインの価格が急上昇した直後だったので、高値圏で買ってしまったとも解釈できるが、狙っていたコインが想定範囲の価格で入手できたのは嬉しかった。

 1825年銘のプルーフ貨はプレーンエッジ(R2)、ミルドエッジ(S)共に過小評価されていると思っている。400セット前後発行されたと推測されるプルーフセットに収められていた1826年銘のプルーフハーフクラウン銀貨と比べてみると、いかに希少なのかわかる。1825年パターンハーフクラウン銀貨(プレーンエッジ)の鑑定数は8枚(NGCが5枚、PCGSが3枚)なのに対して、1826年銘プルーフハーフクラウン銀貨は96枚(NGCが49枚、PCGSが47枚)もある。1826年銘プルーフハーフクラウン銀貨の希少度ランクは「S」である。

 ちなみに、ウナとライオン5ポンド金貨と同じプルーフセットに収められていた1839年銘ヴィクトリア女王「ヤングヘッド」プルーフハーフクラウン銀貨は、鑑定枚数89枚(NGCが48枚、PCGSが41枚)で、希少度ランクは同じく「S」である。

 イギリスのあるディーラーで、1826年銘プルーフハーフクラウンのPF64が5000ポンド(輸入消費税や送料などを加えると約100万円)で売られているのを見たことがある。(さすがに5000ポンドは高いとは思うが)1826年銘プルーフと比べて現存数は1/10以下と推測される、1825年銘パターンハーフクラウン銀貨(同グレードのPF64)が、それと比べてかなり安く入手できたのだから、いい買い物ができたと思える。今回の経験で、イギリスのコインを落札するならヘリテージ以外のアメリカのオークションが狙い目かもしれないと感じた。(ヘリテージは日本人コレクターにとって、おそらく最も参加しやすい海外オークションなので、イギリスコインには案外高値が付く。)

 予算内で入手できたことには満足したが、現物を受け取ってみて、ちょっと気になったことがあった。オークションカタログの写真を見た時から気づいてはいたが、4時から5時(年号の右側)の周辺に進行中と見られる錆のようなものがあった。そこでいい機会だと思ったので、NGCが提供している修復サービス(NCS Conservation)に出してみることにした。

修復前の表面画像

 NCSは、コインを傷つけることなく、表面の汚れを取り、表面の状態を安定させるサービスのことで、修復を受けた後に再鑑定してグレードが上がることもある。その一方で、表面に蓄積された錆が除去されるので、いわゆる「トーン」が落ちてしまうというデメリットもある。このサービスを受けるとコインがどのように戻ってくるか、ぜひ一度試してみたいと前から考えていたので、あまり悩まず実行してみた。結果として、グレードに変更はなかったけど、気になっていた進行中の錆はかなり抑えられたような印象だ。

 NCSに出す場合には、トーンが落ちてしまうことに加え、スラブに記載される鑑定番号が変わってしまう点にも注意が必要だ。鑑定番号でトレースできていた来歴が途切れてしまうので、コインのオーナーとして、旧鑑定番号と新鑑定番号をしっかりと管理して、将来、コインを売却する際にはその情報を引継ぐ責任を負う。でないと、突然出てきた何の来歴もないコインとしか認識されなくなってしまう。

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