コイン投資を行うのに必要な資金額は
アンティークコイン投資にはいくら資金が必要なのか。この質問については「正解」はなく、資金は多ければ多いほど有利、としか回答できない。コインは種類によって価格帯が大きく異なる。どのジャンルを投資対象にするかによって必要額も大きく変動する。まずは、どのようなコインがいくらくらいするのかという基礎知識がないと、投資する金額をイメージするのは難しいだろう。そう、必要な投資額をざっくり把握するには、まず勉強が必要ということだ。
アンティークコイン投資に関する書籍を読むと、アンティークコイン投資のメリットとして「いくらでも自分で決めた予算で投資を始められる」と書かれているが、その説明にはかなり違和感を覚える。
ディーラーに必要な資金額を質問するのはナンセンスだ。500万円以上の高額コインをメインに販売しているディーラーは、「投資として考えるなら最低でも300万円以上にすべき」などと答えるだろうし、10万円前後の手ごろな価格から上は数千万円まで幅広く取り揃えているディーラーは、「いきなり高額のコインの投資する必要はなく、自分の予算に合わせて始めればいい」と答えるだろう。
投資につぎ込める予算が総額で100万円しかないなら、私ならアンティークコイン投資はやらない。アンティークコイン投資を始める前に、レバレッジの効く金融商品で種銭を増やすことを考える。アンティークコイン投資は金持ちが圧倒的に有利なフィールドだからだ。(AKK)
コイン投資は金持ちが圧倒的に有利
アンティークコインにも、過去のオークション履歴などを参考にした「相場」が一応存在する。しかしながら、その相場の金額を用意すれば、すぐに買えるわけではない。人気のある希少コインは、いつオークションに出品されるかわからないし、仮に出品されたとしても、少数の富裕層に目を付けられてしまうと、驚くほど高値で落札されてしまう。
富裕層は相続目的で買っていることが多い。今の「相場」が1000万円だとしても、孫やひ孫の世代にいずれは3億円になると確信できるなら、そのコインを今1500万円で買おうが、2000万円で買おうが、誤差でしかないと思ってる連中だ。人気のあるレア金貨なら、数千万円は当たり前、最近は1億円を超えることも珍しくない。もちろん、そのようなコインは小市民には手も足も出ない。自分の資金額に応じて対象となるコインの種類はおのずと絞られてくるし、小市民なりの戦略を考えないといけない。
レアなコインは水面下で取引されることの方が圧倒的に多いが、いい案件は高額のコインを購入した実績のある常連さんだけに持ちかけられる。このあたりは、美術品や骨董品でも同じこと。資金力のなさそうな一見さんに、誰もが欲しがるレアコインの案件が回ってくる道理がない。
アンティークコイン投資に必勝法が存在するとすれば、それはビジネスや金融取引などで膨大な利益を稼げる力を身につけることだろう。資金力があれば、いいコインが集まってくるようになり、それらを購入するだけでアンティークコイン投資で勝てるようになる。
小市民は戦い方を考えないと勝てない
私たちのような資金力のない小市民がアンティークコイン投資で勝つには、どのようなことに注意したらいいのだろうか。投資の世界では、儲かっている人の真似をせよ、という考え方もあるが、資金的に富裕層の真似をすることはできないし、第一、投資の目的というかゴールが違う。自分が扱える資金の範囲内で、富裕層とは異なる手法で対抗していかないといけない。
コインの世界では、「予算内で最高のコインを買え」という格言をよく耳にする。300万円の予算があるなら、50万円のコインを6枚買うのではなく、1枚300万円のコインを買え、という意味だ。一方で、株式投資など投資の世界では、「卵は一つのカゴに盛るな」という有名な格言もある。これは、一つの投資商品に資金を集中させるのではなく資金を分散させよ、という意味である。どちらが正しいのだろうか?
「予算」を決めるにあたって、金融資産の何割をアンティークコイン投資に振り当てるか、それは非常に難しい問題だ。日本人は保守的であり、すべての金融資産の約半分は預貯金(現金)で保有していて、株式などのリスク資産に振り当てる割合はそれほど高くない。しかし、アンティークコインなどの現物資産は株式などの金融資産に比べてリスクが比較的小さい、と考えるなら、当面使用する予定のない余裕資金の何割かを投入してもいいかもしれない。
いずれにしても、資金が限られた小市民にとって重要なことは、買うべき「正しいコイン」を厳選して、無駄なコインは買わないことだ。狙ったコインがなかなか売りに出ないので、辛抱し切れず、本来買うつもりのなかった入手しやすいコインに手を出してしまうと、いざ欲しいコインと巡り合えた時に資金不足で買えないということになりかねない。どのコインを買うべきかを絞り込んで、そのコインが売りに出るまでじっとチャンスを待つ。これが資金力のない小市民が成功するための奥義である。(AKK)