株式会社極洋

当社グループは株式会社極洋(当社)及び子会社24社、関連会社3社により構成され、水産商事事業、冷凍食品事業、常温食品事業、物流サービス事業、鰹・鮪事業を主として行っております。各事業における当社グループの位置付けは次のとおりであります。

日本水産株式会社

当社グループは、当社、子会社69社及び関連会社25社で構成され、水産事業、食品事業、ファイン事業及び物流事業を主な内容とし、さらに各事業に関連する研究及びサービス等を展開している。
当社グループの事業に関わる位置付け及びセグメントとの関連は次の通りである。 ○水産事業………当社及び連結子会社[黒瀬水産(株)、NIPPON SUISAN(U.S.A.),INC.他30社]、非連結子会社5社[持分法適用会社]、並びに関連会社(株)ホウスイ、(株)大水他14社[持分法適用会社]で漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を行っている。 ○食品事業………当社及び連結子会社[日本クッカリー(株)、GORTON’S INC.他16社]、並びに関連会社6社[持分法適用会社]で加工事業およびチルド事業を行っている。 ○ファイン事業…当社及び連結子会社[日水製薬(株)他3社]で医薬原料、機能性原料(注1)、機能性食品(注2)、および医薬品、診断薬の製造及び販売を行っている。 ○物流事業………連結子会社[日水物流(株)他2社]及び関連会社3社[うち持分法適用会社2社]で冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を行っている。 ○その他…………連結子会社[(株)ニッスイ・ジーネット、長崎造船(株)他5社]で船舶の建造・修繕、運航、エンジニアリング等を行っている。 (注1)サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。 (注2)主に通信販売している特定保健用食品「イマークS」やEPA・DHAなどのサプリメント。 事業の系統図は次の通りである。

株式会社秋川牧園

当社グループ(当社及び当社の子会社)は、当社((株)秋川牧園)及び連結子会社6社((有)あきかわ牛乳、(有)篠目三谷、(株)ゆめファーム、(有)菊川農場、(株)チキン食品及び(有)むつみ牧場)で構成されております。 また、資本関係はないものの協力関係がある生産農場とともに、農薬・化学肥料・抗生物質等の薬物・化学添加物に頼らない安全な食肉、加工食品、鶏卵、牛乳、一般食品等に関連する事業活動を展開しております。 当社グループの事業内容及び関係会社の当該事業に係る主な位置付けは次のとおりであります。 なお、次の2部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 (1) 生産卸売事業 主要な製品は、食肉、加工食品、鶏卵及び牛乳等であります。 食肉、加工食品は、(有)菊川農場と当社の協力農場において生産された若鶏等を、(株)チキン食品等において一次処理加工を行い、当社で製品化し、販売しております。 鶏卵は、(有)篠目三谷において生産された鶏卵を、当社において製品化し、販売しております。 牛乳は、(有)むつみ牧場で生産した原乳を、(有)あきかわ牛乳において製品化し、当社が販売しております。 販売先としましては、生協、量販店、小売店等であります。
(2) 直販事業 生産卸売事業等において製造された製品と、外部取引先より仕入れた商品を会員様に販売しております。 以上当社グループについて、主なものを図示すると次のとおりであります。

ホクト株式会社

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(ホクト株式会社)及び子会社8社により構成しており、今後の幅広い事業展開と経営の効率化を目的として、「国内きのこ事業」、「海外きのこ事業」、「加工品事業」及び「化成品事業」の4事業部門に関係する事業を営んでおります。

株式会社 サカタのタネ

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社36社及び関連会社1社により構成されており、園芸商材(野菜種子、花種子、球根、苗木、農園芸資材)の販売業務を営んでおります。 事業内容と、当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

カネコ種苗株式会社

当社グループは、当社及び子会社3社で構成され、種苗の生産・販売、花き園芸用品、農薬・被覆肥料等の販売、農業資材の販売及び養液栽培プラント・温室・造園工事の設計・施工を行っております。
当社グループの各事業の内容と、当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。
なお、次の5部門は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(1)種苗事業
野菜種子や牧草種子、ウイルスフリー苗及び種イモの委託生産・仕入・販売を行っております。
・野菜種子
耐病虫性・収量性・良食味等の高品質な特性を備えた自社開発品種を中心に、日本国内はもとより海外へも販売しております。また、その委託生産の一部と海外販売の一部を連結子会社であるフィリピーナス・カネコ・シーズ・コーポレーション及び非連結子会社であるカネコ・シーズ・タイランド・カンパニー・リミテッドが行っております。
・牧草種子
飼料作物種子・緑化工事用種子・芝草種子を自社開発または仕入れて、全国ネットや一部海外で販売しております。また、その委託生産と販売の一部を連結子会社であるフィリピーナス・カネコ・シーズ・コーポレーションが行っております。 ・ウイルスフリー苗及び種イモ
収量性・良食味等の高品質な形質を備えた品種を自社開発し、ヤマノイモ類のウイルスフリー種イモやサツマイモのウイルスフリー苗を全国ネットで販売しております。 (2)花き事業 家庭園芸愛好家向けに花き園芸用品や家庭菜園向けの野菜苗等の販売を行っているほか、営利栽培農家向けに自社開発品種の販売を行っております。 ・家庭園芸向け販売
ホームセンター・園芸専門店・園芸卸会社等を通じて、花苗、家庭菜園向け野菜苗、球根、花・野菜のタネ、関連の家庭園芸資材を全国ネットで販売しております。また、小売販売を連結子会社である(株)カネコガーデンショップが行っております。
・営利栽培農家向け販売
ユーストマ・カーネーション等の自社開発品種を全国の花き生産者向けに販売しております。 (3)農材事業 農薬の販売を中心に被覆肥料等の販売も行っております。
・農薬の販売
農産物の安定生産に欠かせない農薬を全国ネットで販売しております。
・被覆肥料等の販売
住友化学株式会社と当社が共同開発した各種肥料成分を樹脂でコーティングした、効果が長期に持続する被覆肥料「ベストマッチ」を販売しております。 (4)施設材事業
農業資材を仕入れ販売しているほか、当社独自の養液栽培プラント及び温室を設計・施工し、販売しております。 ・農業資材の販売 農業の効率化や農産物の安定生産に欠かせない農業資材を全国ネットで販売しております。 ・養液栽培プラントの設計・施工
各作物に合った養液栽培プラント、完全閉鎖型植物工場などを設計・施工し、全国ネットで販売しており、それに加え、種苗会社の特徴を生かした独自の栽培技術指導を行っております。 ・温室の設計・施工 野菜・花卉・果樹の各分野にあわせた環境制御温室を設計・施工し、販売しております。
(5)造園事業
主に群馬県内において、造園工事や法面工事を官公庁及び民間から請け負い、設計・施工管理を行っております。 当社及び当社グループの当該事業における位置付けを図示すると以下のとおりであります。

株式会社ホウスイ

3月末の当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、親会社、子会社3社((株)せんにち、(株)水産流通、中央フーズ(株))、その他の関係会社(主要株主)で構成されており、冷蔵倉庫保管、水産物の買付販売、リテールサポート業務、水産練製品・惣菜他(厚焼玉子等)の製造・加工販売などを主な内容とした事業活動を営んでおります。

マルハニチロ株式会社

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は当社、子会社98社及び関連会社55社により構成されており、漁業・養殖事業、商事事業、海外事業、加工事業、物流事業を主たる事業として行っております。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
なお、次の5事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。 (1)漁業・養殖事業……当社及び連結子会社[大洋エーアンドエフ(株)他11社]、非連結子会社4社、並びに関連会社5社[うち、持分法適用会社1社]において、はえ縄、まき網などの漁業、クロマグロやカンパチなど付加価値の高い魚の養殖、海外合弁事業を柱に、直接、水産資源の調達を行っております。
(2)商事事業……………当社及び連結子会社[大都魚類(株)、神港魚類(株)、九州中央魚市(株)、大東魚類(株)、(株)マルハ九州魚市ホールディングス他9社]、非連結子会社5社、並びに関連会社18社[うち、持分法適用会社6社]により、国内外にわたる調達・販売ネットワークを持つ水産商事ユニット、畜産商事ユニット、市場流通の基幹を担う荷受ユニットから構成されております。
(3)海外事業……………当社及び連結子会社[Kingfisher Holdings Limited、Southeast Asian Packaging and Canning Limited、KF Foods Limited、Austral Fisheries Pty Ltd.、Westward Seafoods, Inc.、Maruha Capital Investment, Inc.、Peter Pan Seafoods, Inc.他20社]、非連結子会社12社[うち、持分法適用会社2社]、並びに関連会社26社[うち、持分法適用会社15社]により、中国・タイにおける水産物・加工食品の販売に加え、オセアニアでの基盤を強化している海外ユニット、すりみ等の生産を中心とした北米商材の日本・北米・欧州での販売を展開する北米ユニットから構成されております。
(4)加工事業……………当社及び連結子会社[ニチロ畜産(株)、(株)ヤヨイサンフーズ、(株)マルハニチロ北日本他8社]、並びに関連会社1社[持分法適用会社]により、家庭用冷凍食品の製造・販売を行う家庭用冷凍食品ユニット、缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート等の製造・販売を行う家庭用加工食品ユニット、業務用商材の製造・販売を行う業務用食品ユニット及び化成品・調味料・フリーズドライ製品の製造・販売を行う化成ユニットから構成されております。
(5)物流事業……………連結子会社[(株)マルハニチロ物流他5社]、並びに関連会社1社[持分法適用会社]において冷凍品の保管及び輸配送を行っております。
(6)その他………………当社及び連結子会社[(株)マルハニチロアセット、アイシア(株)他4社]、非連結子会社1社、並びに関連会社4社[うち、持分法適用会社1社]において、飼料等の保管業、海運業、不動産業及び毛皮・ペットフードの製造販売業等を行っております。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

日本水産株式会社

当社グループは、当社、子会社69社及び関連会社25社で構成され、水産事業、食品事業、ファイン事業及び物流事業を主な内容とし、さらに各事業に関連する研究及びサービス等を展開している。
当社グループの事業に関わる位置付け及びセグメントとの関連は次の通りである。 ○水産事業………当社及び連結子会社[黒瀬水産(株)、NIPPON SUISAN(U.S.A.),INC.他30社]、非連結子会社5社[持分法適用会社]、並びに関連会社(株)ホウスイ、(株)大水他14社[持分法適用会社]で漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を行っている。 ○食品事業………当社及び連結子会社[日本クッカリー(株)、GORTON’S INC.他16社]、並びに関連会社6社[持分法適用会社]で加工事業およびチルド事業を行っている。 ○ファイン事業…当社及び連結子会社[日水製薬(株)他3社]で医薬原料、機能性原料(注1)、機能性食品(注2)、および医薬品、診断薬の製造及び販売を行っている。 ○物流事業………連結子会社[日水物流(株)他2社]及び関連会社3社[うち持分法適用会社2社]で冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を行っている。 ○その他…………連結子会社[(株)ニッスイ・ジーネット、長崎造船(株)他5社]で船舶の建造・修繕、運航、エンジニアリング等を行っている。 (注1)サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。 (注2)主に通信販売している特定保健用食品「イマークS」やEPA・DHAなどのサプリメント。 事業の系統図は次の通りである。

株式会社ホーブ

(1)当社グループの事業内容
当社は、「いちご」という農産物において、新しい品種の研究開発から始まり、苗の生産販売から収穫した果実の販売までの全てを行っており、1年365日、洋菓子メーカー等に対して国産いちごを供給しております。
国内で広く一般的に販売されている「とちおとめ」等のほとんどのいちごは、いちごの中でも一季成性といわれる品種であり、品種特性により収穫時期は主に冬から春に限られます。そのため、夏秋期には一部国産いちごの収穫はあるものの、現在夏秋期に販売されているいちごの大部分はアメリカ合衆国から輸入されたものであり、そのため、ケーキにのっているいちごにも輸入品が使用されております。
当社では、四季成性いちご※1「ペチカサンタ」(平成22年3月 品種登録)「ペチカプライム」(平成22年5月品種登録 品種登録名ペチカピュア)、「コア」(平成29年6月品種登録 品種登録名ペチカエバー)、「夏瑞/なつみずき」(平成29年6月品種登録 品種登録名ペチカほのか)の自社品種を有しており、苗の生産及び農家への販売、生産農家で収穫したいちごの仕入及び洋菓子メーカーへの販売までの全てを行うというビジネスモデルを構築しております。この自社品種により、洋菓子メーカーの「夏秋期にも国産いちごを使いたい」という要望にこたえ、1年を通して安定した国産いちごを供給できる体制を構築しております。
この体制を支えているのは、夏秋期に収穫できる自社品種であり、その自社品種苗を均一無病苗※2として量産化できるバイオテクノロジー技術であります。
当社では、いちご以外にも、これまでに構築してきたバイオテクノロジー技術を用いて、その他の苗の研究開発や生産・販売も行っており、また、自社品種の栽培に必要な機器や資材及び収穫した果実の梱包用資材の販売も行っております。さらに、洋菓子メーカー等へケーキ素材となるいちご以外の果物等の販売も行っております。 ※1 いちごには、花芽形成(花となる芽のもとが作られること)に一定の条件を必要とする一季成性いちごと条件を必要としない四季成性いちごがあります。一般に知られているいちごの多くは一季成性いちご(とちおとめ等)であり、一定の条件が整ってはじめて花芽が形成され、果実ができます。一方、四季成性いちごは花芽形成に条件を必要としないため、一年中栽培が可能であります。
※2 親苗と同じ遺伝子情報をもち、ウイルスや病原菌に汚染されていない苗のことであります。
当社グループは、当社(株式会社ホーブ)と連結子会社1社(株式会社エス・ロジスティックス)で構成されております。報告セグメントは、いちご果実・青果事業、種苗事業、馬鈴薯事業及び運送事業の4つのセグメントとなります。
当社グループの事業内容及び当社と連結子会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
(いちご果実・青果事業 当社)
当社がいちご果実(自社品種いちご果実・その他いちご果実)、青果及び農業用生産・出荷資材の仕入販売を行っております。
(種苗事業 当社)
当社が自社品種のいちご苗を生産し、生産農家へ販売しております。また、いちご以外の種苗についても、食用ユリなどの生産を受託し販売を行っております。
(馬鈴薯事業 当社)
当社が種馬鈴薯の生産販売及び仕入販売と、青果馬鈴薯の仕入販売を行っております。
(運送事業 株式会社エス・ロジスティックス)
株式会社エス・ロジスティックスが、当社の商品等を中心とした配送業務を行っております。 以上に記載した事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 [事業系統図] (2)四季成性いちご
①一季成性と四季成性
一般に知られている「いちご」は、秋になって日照時間が短くなり、気温が低下してくると花芽形成(花となる芽のもとが作られること)されます。その後、冬になってさらに気温が下がると休眠状態となり、春になり気温の上昇とともに休眠から覚めて、成長し、花が咲き、果実となります。八百屋あるいはスーパーマーケット等で広く一般的に販売されている「とちおとめ」等のほとんどのいちごが、この花芽形成の条件(夜の長さが12時間以上となる日が連続するという短日条件、あるいは温度の低下という低温条件)を必要とする一季成性品種のいちごであります。そのため、国産いちごの主な収穫時期は、概ね12月(クリスマスの需要にあわせて人工的に必要な条件を作って収穫時期を早めたもの)から5月頃までとなっております。
一方、四季成性品種は、花芽形成に日照時間の長短や低温であるという条件を必要としないため、一季成性品種と違い一年中栽培収穫が可能であります。
当社の自社品種「ペチカサンタ」「ペチカプライム」「ペチカエバー」「ペチカほのか」は、この四季成性品種のいちごであり、一年中栽培収穫が可能であります。しかしながら、当社では一季成性いちごが収穫できず国産いちごの端境期となる5月から11月の夏秋期に自社品種の収穫時期を設定しております。
業務用※1に使われる国産いちごの出荷量が少ない夏から秋にかけて、当社の品種は、国産夏秋いちごとして付加価値を高めております。 ※1 洋菓子メーカー等でケーキのトッピング用あるいはスポンジのサンド用として使用されるいちごのことであります。スーパーマーケット等で販売されているいちご(生食用いちご)と同じものですが、ケーキの上を飾るため、食味・食感だけでなく、大きさ、形状、色艶、スレ・あたり(手で触れたり、いちご同士あるいは他のものと擦れたりあたったりすることによって、いちごの表面にできる小さなピンクに変色した部分)などの傷の有無等、各メーカーごとに厳しい規格があります。 ②自社品種の特徴
いちごに関して重要なことは、生産農家にとっては病虫害に対する耐性があり、作りやすく、収穫量・生産性に優れていることであり、消費者にとっては、安心・安全であり、なおかつ、食味・食感、甘みと酸味のバランス、香り、円錐形の形状、色艶のどれもが水準以上であることであります。また、洋菓子メーカーは、消費者のニーズに合わせながら、必要なサイズ(大きさ)のものを必要な量だけ安定的に供給されることを望んでおります。当社の品種は、こうしたどの要望にも応えうる品種であると考えております。
自社品種は、四季成性が強く季節を問わず安定して花芽を形成するため、安定的に連続して果実を収穫することができます。さらに、苗の定植時期によって収穫時期をコントロールしやすく多様な作型で栽培できるため、生産農家にとって生産作物の計画に組込みやすい品種です。
また、食味・食感の良さ、豊かな香り、鮮やかな果色、きれいな円錐形をした果形、輸送性に問題がない程度の適度な果皮の硬さ等高い水準の果実品質を有しております。 (3)事業の特徴
当社の事業の特徴は、「いちご」という農産物において、育種※1から苗の生産・販売、栽培指導、果実の仕入・販売までのそれぞれの事業において特徴、優位性を持っているだけではなく、川上から川下までの事業を行うことで、それらが有機的に結びついて、当社の総合力として発揮されていることにあります。
また、この総合力は、生産農家や洋菓子メーカー等とのつながりによって補強され、いちご果実の生産者側及び消費者側それぞれの情報を的確に吸収し、ニーズに合った情報をそれぞれに還元できることにもつながっております。
当社は、自社品種を作り上げた培養技術、さらに自社品種を基盤に展開してきたトータルサービスが当社の特徴であると考えております。 ※1 交配などにより新しい形質を持つ品種を作り出すことであります。 ①育種(種苗の研究開発)
当社は、研究開発の結果、平成22年3月に「ペチカサンタ」(品種登録番号 第19206号)、平成22年5月に「ペチカプライム」(品種登録名ペチカピュア 品種登録番号 第19528号)、さらに平成29年6月に「コア」(品種登録名ペチカエバー 品種登録番号 第26015号)、「夏瑞/なつみずき」(品種登録名ペチカほのか 品種登録番号 第26016号)の品種登録をそれぞれ行いました。
これらの育種過程で培われた技術を駆使し、中富良野研究農場及び東神楽研究圃場の研究農場においてさらなる新品種の開発を鋭意進めております。
②種苗生産(組織培養※1)
・組織培養技術
当社は、バイオテクノロジーのひとつである植物組織培養技術を使い、優良な均一無病苗※2を短期間で大量に作り出す技術を有しております。この苗増殖技術によって、当社の自社品種苗を生産し、販売しております。組織培養による増殖技術は、近年実験室段階では急速に進歩しましたが、変異が多発しやすくまた馴化※3の効率が低い等の問題から、商業的技術として確立されたものは多くはなく、商業ベースにのっているものは限られております。当社では、いちごはもとよりアルストロメリア、ユリ、クロユリ、アヤメ、胡蝶蘭、カトレア、ジャガイモ、ヤマイモ、アスパラガス、ニンニク、ニラ等の多様な植物についての増殖技術を確立しており、ユリについては、現在も苗生産を受託しており、組織培養技術を使って苗を増殖し、生産販売しております。
・苗生産の分業システム
国内のいちごの主要産地では、原苗を生産する段階から圃場増殖を繰り返しているため、ウイルス等への感染など病虫害が発生する可能性が高くなり、苗質劣化の問題が年々増大しております。
また、いちごの生産に限らず、農作業の軽減化及び効率化が強く求められておりますが、国内のいちご生産農家の多くは、都道府県等の地方公共団体あるいは農業協同組合から病虫害に罹患していない健康な苗を親苗として購入し、自前の農場施設内で栽培しながら増殖させ、これを2年繰り返し、増えた子苗を果実生産用の苗として使用しております。いちご生産農家は、果実生産だけではなく苗生産の期間も合わせると1年365日毎日いちごの栽培に係わっていることになります。
欧米諸国では、いちご生産農家が苗を購入し、増殖することなくそのまま果実生産用に使用する苗生産分業システムが広く一般的に普及しております。当社の自社品種苗においても、果実生産用の苗として、優良な均一無病苗を生産農家が必要とするときに、必要な数量だけ提供する苗生産分業システムを確立しており、生産農家の作業負担軽減に大きく貢献しております。 ※1 植物の細胞あるいは葉、茎、根や芽などの器官を無菌的に培養することであります。
※2 親苗と同じ遺伝子情報をもち、ウイルスや病原菌に汚染されていない苗のことであります。
※3 環境に馴れ、順応することであります。組織培養の苗は培養容器の中で生育したため、容器から出した際に温度や湿度の変化に対応できず、枯死する場合が多くなります。そこで、温度や湿度の変動をできるだけ抑えた条件で外気に触れさせる必要があります。 ③いちごの栽培研究及び栽培指導
当社は、夏秋期におけるいちごの栽培生産技術の向上をはかるために、中富良野研究農場及び東神楽研究圃場において、自社品種の栽培研究を継続して行ってきております。
自社品種の生産の主力は全国各産地の生産農家であります。
当社では、いちご栽培のプロフェッショナルである従業員が中心となって、全国各地の自社品種生産産地に出向き、各生産農家の栽培・生育状況を実際に目で確認して、きめ細かく的確に助言、指導を行っております。この指導により、生産農家の収穫実績は上がっており、信頼も得られ、当社にとっても規格の統一された優良ないちごが安定的に入荷されるようになってきております。
④いちご果実・青果の販売
・通年安定供給
当社は、国産業務用いちごの販売に関して、自社品種を販売する夏秋期だけではなく、夏秋期以外の時期も含め最高の品質のものを1年間安定して供給すること、1年365日対応することを原則としております。そのため、当社は、夏秋期以外の冬から春にかけてのシーズンには全国のいちご産地からその時期における最高品質のいちご(とちおとめなど)を買付け、販売しております。
冬から春にかけてのシーズンには生食用いちごが豊富に生産出荷されているため、当社としても業務用いちごを確保することは比較的容易でありますが、夏秋期においてはいちごの生産自体が少なくなるため、自社品種の生産出荷量を夏秋期を通じて安定して確保することが重要となっております。
当社の特色は、自社品種の苗を販売して終わるのではなく、その成果である果実を買付け販売することで、国産いちごの流通量が少なくなる夏秋期に国産いちごを安定供給でき、冬から春にかけてのいちごのシーズンと合わせ、業務用国産いちごの通年安定供給ができることであります。 ・輸送技術
一般にいちご果実は、30℃を超える高温に弱く、また果皮がやわらかいため衝撃にも弱く、夏秋期の栽培、輸送にはあまり適しておりません。しかし当社は、夏秋期の業務用国産いちごがほとんどなかった十数年前から、この夏秋期に生産、販売を行っており、夏秋期において特に顕著に現れる諸問題を解決するため、輸送技術の研究に力を注いでまいりました。
その結果、生産農家から洋菓子メーカー等までの物流を簡素化し、また、クールコンテナ等を利用することで、低温管理され、なおかつ振動の少ない輸送システムを実現いたしました。さらに、スレ・あたり※1を防ぐ一段トレーソフトパック※2の採用により、高品質を保持した長距離流通を実現しております。当社では、全産地の自社品種について一段トレーソフトパックを採用しており、自社品種以外のいちごについても、産地の協力を得て一段トレーソフトパックに切替えております。
こうした研究、努力により、当社は、業務用としての国産いちごを冬から春にかけてだけではなく、一年中安定して供給できるような産地・流通・販売のシステム構築に成功しております。 ・その他の果実、青果の販売
当社は、いちご以外にもブルーベリー、バナナ、キウイ、メロン等の洋菓子の材料となる果物や野菜の卸売りも手がけております。これらの青果は、いちご果実の販売先と重複するため、新たな輸送手段、及び輸送ルートを構築する必要がなく、販売先数の増加とともに、今後も当社の収益拡大に期待ができます。 ※1 手で触れたり、いちご同士あるいは他のものと擦れたりあたったりすることによって、いちごの表面にできる小さなピンク色に変色した部分のことであります。
※2 やわらかい材質のトレーにそれぞれのいちごの規格に合わせた窪みをつけた梱包用資材であります。この窪みの中にいちごを並べて輸送することでスレ・あたりを防ぐことができます。
⑤種馬鈴薯等の生産販売
日本国内に一般流通している品種「男爵」「メークイン」等の種馬鈴薯、青果馬鈴薯の仕入販売はもとより「シンシア」「アローワ」「サッシー」等の海外オリジナル品種の国内販売権を有し、種馬鈴薯を委託生産し、販売しております。