発行年・王朝 | 1849年ヴィクトリア女王 | ||
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種類(エッジ) | フローリン銀貨(ミルド) | ||
グレード | NGC MS62 | ||
希少度ランク | C2(かなりありふれた) | ||
入手方法 | 裸を海外ディーラーから購入 |
単年発行で人気の「ゴッドレスフローリン」
2シリングに相当する新通貨を制定するにあたり、1848年にデザインを決めるためのパターンが、表面3種、裏面9種の合計27種が作られた。この段階では、通貨名として、「フローリン」、「センタム」、「ダイム」、「ディケイド」の合計4つの候補があった。結局、通貨名はフローリンに決定、表面の肖像は、ほぼゴチッククラウン銀貨と同じ案が採用された。
1848年銘のパターンフローリン銀貨は、ESCでは27種すべて希少度ランクは「R2(非常に稀少)」となっているが、鑑定数を見る限り、新フローリン銀貨として採用が決定した表面と裏面の組み合わせのパターンが圧倒的に多い。おそらく、当初はすべての組み合わせが同じ枚数作られたと思われるが、デザインが決定された後に、採用された組み合わせのパターンが追加で製造されたのではないかと思われる。
これらのパターンのエッジはプレーンであったが、興味深いことに、採用された組み合わせのパターンにのみ、エッジがミルド(ギザ縁)のものが少数作られたという。2023年7月に開催された国内オークションで、1848年銘パターンフローリンのミルドエッジが出品され、驚くほど高値で落札された。
試作品を27種類も作ってデザインを慎重に決定した新フローリン銀貨であったが、採用されたデザインには、イギリスコインの表面に刻印されることが慣例となっていた「DEI GRATIA(神の恩寵による)」という文字列が抜けていたため、1849年に流通貨としてデビューした新フローリン銀貨は国民の反発をかってしまい、発行は1849年銘だけに留まりデザインの修正を余儀なくされた。
1949年銘のフローリン銀貨は、「DEI GRATIA(神の恩寵による)」が抜けているため、「ゴッドレスフローリン」という愛称が定着している。1851年から新デザインのゴチックフローリン銀貨が登場するまで、国民の間でも大きな話題になったことから、コレクターの注目を集め、発行枚数の割りに状態のいい個体が数多く残っている。発行枚数は約41万4000枚で、1867年銘(希少度ランクR2)の約42万4000枚より少ないが、鑑定数は617枚(NGCが378枚、PCGSが239枚)と、ゴチックフローリン銀貨のどの年号よりも桁違いに多い。
ヴィクトリア女王の肖像はほぼ同じなので、パッと見はゴチックフローリン銀貨とそっくりだが、大きさも微妙に違う。ゴッドレスフローリン銀貨の直径は28mmなのに対して、ゴチックフローリン銀貨は30mmである。
すでに触れた通り、鑑定数が多いことに加え、歴史的に不名誉な名を遺すと思われたためか大事に保管する人が多かったようで、高鑑定の個体も多い。NGCだけでも、MS65以上が28枚もあり、最高鑑定はMS66(8枚)となっている。
このゴッドレスフローリン銀貨も、裸で「BU」とグレードされたもので、見た目のトーンは奇麗だったが、鑑定では残念ながらMS62となった。正直、MS64は十分狙えると思っていたのでガッカリした。MS62では、稀少性はほぼないに等しい。ゴッドレスフローリン銀貨は、たしかに市場でもよく見かけるのだが、状態のいい個体は意外に少ない。それだけコレクターからの人気があるのだろう。
たまにオークションでMS65やMS64の鑑定済コインが出品されるが、現存数の多さを考えると、許容できる価格での購入は難しい。状態のいい裸コインが安く入手できるようなら、また鑑定に挑戦したいと思っている。