発行年・王朝 | 1887年ヴィクトリア女王 | ||
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種類(エッジ) | フローリン銀貨(ミルド) | ||
グレード | NGC MS64 | ||
希少度ランク | R(希少) | ||
入手方法 | 裸を海外ディーラーから購入 |
希少な「ゴチックフローリン」の最終年
1851年から37年間発行が続けられてきたゴチックフローリン銀貨だが、1887年にヴィクトリア女王が在位50周年を迎えるにあたって、肖像が「ジュビリーヘッド」に差し替えられることになった。ハーフクラウン銀貨やシリング銀貨など、継続して発行されてきた銀貨は1887年途中から肖像が代わったため、1887年銘は「ヤングヘッド」と「ジュビリーヘッド」の2種類が存在する。1887年が在位50周年に当たることは前からわかっていたはずなのに、年初から新肖像に差し替えなかったのは、何らかの式典の開催日に合わせて、新肖像のコインを記念コインのような形で一斉にデビューさせる演出だったのかもしれない。
ゴチックフローリン銀貨の肖像は、頭には髪ひもしか巻いていないハーフクラウン銀貨など他の銀貨の肖像とは異なり、ゴチッククラウン銀貨のように王冠を頂いている肖像だが、他の銀貨と同様に「ヤングヘッド」と分類されている。なお、1887年以降の「ジュビリーヘッド」フローリン銀貨は、ゴチック文字は使われていないので、「ゴチックフローリン」と呼ばれることはない。
1887年銘のフローリン銀貨については、発行数は約178万枚という記録が残っているものの、その数字はゴチックタイプとジュビリータイプ2種類を合計した数字であり、1887年ゴチックフローリン銀貨単独の発行数は不明となっている。
希少度ランクを見ると、ゴチックタイプが「R」なのに対して、ジュビリータイプは「C3(もっともありふれた)」となっており、ひょっとしたら、ゴチックタイプ単独では、1869年の発行数(約29万7000枚)よりさらに少ない可能性もある。明確な発行数が不明なだけに、隠れた「特年」と言えるかもしれない。ゴチックフローリン銀貨の最後の年号であり、1887年以降はワイオンが彫刻した肖像が使われなくなったことを考えると、ワイオンコレクションの最後を飾る年号として感慨深いものがある。
1887年ゴチックフローリン銀貨は、鑑定数にも謎がある。鑑定数は合計15枚(NGCが14枚、PCGSが1枚)だが、PCGSの1枚はVG10だけであり、実質的にはPCGSの鑑定数は0枚に等しい。平均的には、PCGSの鑑定数よりNGCの鑑定数が多いものの、ここまで差が極端に出るのも珍しい。海外ディーラーの在庫状況も調べてみたが、扱っているところは意外に少なく、体感的には希少度は「R」よりも高い。
MS64は上位から3番目のグレードで、MS64の上には、MS65とMS64+が1枚ずつあるだけ。そう考えるとかなりの高鑑定であることは間違いないが、やはりファイネストが欲しくなる。これまで、裸のゴチックフローリン銀貨を30枚ほど鑑定に出してみたが、この1887年ゴチックフローリン銀貨を含めて、MS64が付いたのは2枚のみ。MS62は結構付くのだが、MS63以上は難易度が高く、MS65以上が付いたことは、まだない。MS65を目指して、今度も鑑定には挑戦していきたいと思っている。