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【コレクション】1839年 ヴィクトリア女王 ハーフクラウン銀貨



発行年・王朝 1839年ヴィクトリア女王
種類(エッジ) ハーフクラウン銀貨(ミルド)
グレード NGC VF25
希少度ランク R4(現存数11~20枚)
入手方法 裸を海外オークションで落札

謎めいた1839年「ヤングヘッド」ハーフクラウン銀貨

 1839年銘のハーフクラウン銀貨といえば、ウナとライオン5ポンド金貨と一緒に1839年プルーフセットに収められたプルーフハーフクラウン銀貨(プレーンエッジ)のことを連想する人がほとんどかもしれない。この1839年銘ハーフクラウン銀貨は、ミルドエッジだし、かなり摩耗して見るからに流通貨である。しかし、ロイヤルミントには、1839年に流通用のハーフクラウン銀貨を製造した記録が残っていない。このハーフクラウン銀貨は謎に満ちている。

 1839年銘のハーフクラウン銀貨には、肖像面の微妙な違いによって4つのタイプが存在する。ESCに掲載されている分類方法に従って4つのタイプの特徴を簡単に説明すると、このような感じになる。A1タイプ:首の切断面にW.W.が陽刻(文字の部分が盛り上がっている)で髪ひもが1本柄入り1本無地、A2タイプ:W.W.が陽刻で髪ひもが2本とも柄入り、A3タイプ:W.W.が陽刻で髪ひもが2本とも無地、A4タイプ:W.W.が陰刻(文字の部分が掘り下げられている)で髪ひもが2本とも無地。

 1839年銘のハーフクラウン銀貨には、A1からA4までの4つのタイプのプルーフ貨が存在する。おそらく1839年プルーフセット用のプルーフハーフクラウン銀貨のデザインをどれにするかを決めるためのパターン(試作品)だったと思われる。結局、1839年プルーフセット用のプルーフ貨はA1タイプに決定された。現存する1839年銘のプルーフハーフクラウン銀貨は、基本的にA1タイプのプレーンエッジのものがほとんどである。

 ESCによると、A1タイプとA4タイプにはミルドエッジの流通貨と思われる個体が少数存在する。この1839年ハーフクラウン銀貨は、A4タイプ(W.Wが陰刻)の流通貨とされるもの。グレーディングはVF25とかなり低いが、驚くなかれ、これでも最低セカンドファイネスト(準最高鑑定)である。NGCの鑑定数は5枚あるが、相変わらずNGCのダメなところで、A1とA4が区別されていない。1枚はA4タイプとして、専用の管理番号が割り振られている。A1とA4が区別されていない4枚のうち、最高鑑定はAU53で、二番目が私のVF、三番目がF、四番目がPoorとなっている。AU53がA4タイプなら私のVFがセカンドファイネスト、もしAU53がA1タイプなら私のVFがファイネストということになってしまう。ちなみに、PCGSは1枚だけだが、きちんとA1タイプと明記されていて、飛びぬけて高鑑定のMS64となっている。

 A1タイプもA4タイプも、ESCの希少度ランクは同じR4(現存数11~20枚)となっているが、NGCの4枚の内訳がわからないので、どちらがより希少なのかは判断できない。現存数の少なさから、希少度が高いことは容易に想像がつくが、なぜA1とA4に、プルーフ仕上げではない流通貨を製造したのかという大きな疑問は残る。発行当時はヴィクトリア女王の美しい肖像が描かれた新しい銀貨は大きな話題になったはず。記念すべき初年度の1839年銘ハーフクラウン銀貨は、奇麗な状態でもっと残っていてもおかしくないと思うのは私だけだろうか。

 仮に本当に流通貨として少量が発行されたとしても、いつ発行されのかという疑問も残る。1839年プルーフセットは、ウナとライオン5ポンド金貨のデザインがなかなか確定せず、プルーフセットとして製造が開始されたのは1843年以降だと言われている。さらに、このプルーフセットは、ワイオンがコインコレクターだと認めた人だけに販売されたという。購入する権利を誰に与えるかを決めるのに、自分がコインコレクターである証拠を提出するように求めたという記録が残っているそうだ。おのずと、貴族などの上流階級の人に偏って販売された可能性が高く、一般庶民が1839年銘のハーフクラウン銀貨の存在を知る機会はほとんどなかっただろう。

 これは何の根拠もない個人的な推理ではあるが、1839年銘の流通貨とされるハーフクラウン銀貨は、ずっと後、おそらくは第二次世界大戦後に作られた偽造品の可能性もあるのではないか。

 2022年7月、スピンクでこのハーフクラウン銀貨が裸の状態で出品されているのを発見した。1839年銘の流通貨の謎を追求したいと思っていた私は、絶好の機会だと思って入札に参加することにした。知っている人も多いと思うけど、NGCのロンドン支社はスピンクの本社ビルの中にある。ロンドン支社に提出されたコインは、すべてアメリカに送られて鑑定されるのだが、スピンクで落札した裸コインをスピンク経由で鑑定に出せば、万が一、本物と認定されなかった時に、すぐにスピンクと話し合いができるし、何かと好都合だと考えたのだ。そして、狙い通りVF25と「VF」が付いて戻ってきた。DetailsにならずにVFが付けば、セカンドファイネスト以上は確定するとわかっていた。

NGCのプライスガイド

 NGCのサイトで鑑定番号を入力すると鑑定内容を確認することができるが、そのページの「Price Guide Value」というリンクをクリックすると、NGCの基準で算出された市場価格が表示される。実勢価格とは多少乖離があるので絶対値はあまり参考にならないが、別のコインとの上下関係を見るのには役立つかもしれない。で、1839年銘ハーフクラウン銀貨の「Price Guide Value」を開くと、VFは$5000と表示される。よく見ると、ハーフクラウン銀貨の特年として知られる1841年のMS60も同じ$5000となっている。1841年銘ハーフクラウン銀貨(流通貨ながら希少度ランクはR3)のMS60がオークションに出たなら、諸経費込みで100万円は付くんじゃないかと思われる。

もう1枚の1839年銘ハーフクラウン銀貨

 1841年銘ハーフクラウン銀貨のMS60をお持ちの方で、私の1839年銘ハーフクラウン銀貨のVF25と1対1交換をしたい人がいれば大歓迎である。なぜなら、その後、私はさらに状態のいい1839年銘ハーフクラウン銀貨(A4タイプ)の裸を入手できたから。AU53には届かないにしても、数字が付けばXFが付くのは堅いと思われるほど状態は良好。NGCに鑑定に出すと、このVF25の順位が落ちてしまうので、鑑定に出すとすればPCGSに出すか、しばらくは裸のまま保有しようかと思っている。

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